🌿 うどんこ病の症状と対策
うどんこ病は、多くの植物(野菜、草花、果樹など)に発生する代表的な病気です。葉の表面が白い粉をまぶしたようになるのが特徴で、植物の生育を著しく妨げます。
1. うどんこ病の症状
うどんこ病は、病原菌である**カビ(糸状菌)**が植物の表面に寄生し、胞子を形成することで起こります。
症状の段階 | 発生箇所 | 詳細な変化 |
初期 | 葉の表面(主に上側)、茎、つぼみ | 小さな白い斑点状の粉が発生します。触ると簡単に拭き取れる程度のものです。 |
中期〜進行期 | 葉全体、茎、花首 | 白い斑点が広がり、まるでうどんの粉(小麦粉)をまぶしたように葉や茎全体が覆われます。 |
末期 | 葉全体 | 白いカビに覆われた部分は光合成ができなくなり、黄色や茶色に変色して生育不良を起こします。ひどくなると落葉し、株全体が枯れる原因になります。 |
💡 発生しやすい条件
温度と湿度: 春と秋(20〜25℃程度)に発生しやすく、適度な乾燥と夜間の多湿が重なる環境で増殖します。
風通し: 葉が密集し、風通しが悪い場所で多発します。
肥料: 窒素肥料の与えすぎで植物が軟弱化すると、病気にかかりやすくなります。
2. うどんこ病の対策と対処法
予防が最も重要ですが、発生してしまった場合は早期の対応が不可欠です。
A. 予防策(環境の改善)
対策の種類 | 実行のポイント |
日当たり・風通し | 密植を避け、適切な株間を確保します。枝葉が混み合っている部分は剪定・整枝を行い、日当たりと風通しを良くします。 |
水やり・湿度管理 | 地面や通路に水を撒くなどして、適度な湿度を保つ工夫をします。ただし、葉に水が長時間残らないよう、水やりは朝に行いましょう。 |
適切な肥培管理 | 窒素過多にならないよう、肥料のバランス(特にチッ素、リン酸、カリウム)に気を配ります。 |
越冬対策 | 落ち葉や枯れた枝に病原菌が越冬することがあるため、株元の落ち葉や残渣をきれいに除去し、圃場を清潔に保ちます。 |
抵抗性品種 | 毎年のように発生する場合は、うどんこ病に**耐性のある品種(接ぎ木苗など)**の導入を検討します。 |
B. 早期対処法(治療)
1. 物理的な除去(初期段階)
白い粉が見つかったら、すぐにその葉や茎を切り取ります。
切り取った患部は、その場で放置せず、**畑や庭の外で処分(焼却など)**し、病原菌の拡散を防ぎます。
使用したハサミはアルコールなどで消毒しましょう。
2. 家庭でできる初期対策(軽症時)
まだ症状が軽いうちは、以下の方法で進行を抑えられることがあります。
| 対策 | 作り方と使い方 |
| :--- | :--- |
| 重曹スプレー | **水500mlに対し重曹1g(小さじ約1/4)**の割合で溶かしてスプレーします。食品にも使える重曹は安全性が高いですが、濃度が濃すぎると葉を傷める(薬害)ため注意が必要です。 |
| 食酢スプレー | 食酢(お酢)を水で100倍程度に薄めてスプレーします。 |
| 木酢液スプレー | 表示された希釈倍率を守って薄め、スプレーします。 |
3. 殺菌剤による対処(症状が進んだ場合)
症状が進行して家庭での対策では間に合わない場合は、殺菌剤を使用します。
薬剤の選択: 予防効果と治療効果を持つ薬剤があります。初期なら「カリグリーン」(炭酸水素カリウムが主成分)など、広く使われる殺菌剤(例:ダコニール、トップジンMなど)を使用します。
使用方法: 薬剤は必ずラベルに記載された希釈倍率と使用方法を守って散布します。特に葉の裏側や茂みの内側など、菌がいる場所に丁寧に散布しましょう。
ローテーション: 同じ薬剤を使い続けると菌に耐性がつくことがあるため、予防と治療で系統の異なる複数の薬剤をローテーションして使用するのが効果的です。