転びやすいのは歳のせいだけじゃないかも？隠れた病気と自宅でできる転倒予防策
💡 こんなお悩みはありませんか？
「最近、なんでもないところでつまずくようになった」「以前よりバランスが悪くなった気がする」「自分や家族がよく転ぶのは、ただの不注意だろうか？」
日常生活で転倒が増えると、「年のせいかな」「運動不足かな」と軽く考えてしまいがちですが、実はその背後には、治療が必要な病気が隠れている可能性があります。特に頻繁に転ぶ、バランスを崩しやすいといった症状は、体の危険信号かもしれません。
この記事では、「よく転ぶ」という現象の裏に潜む意外な原因や、注意すべき病気、そして家庭で簡単に取り入れられる転倒予防のための具体的な対策を、わかりやすく解説します。
🚨 「よく転ぶ」のはなぜ？潜んでいる危険な病気とは
転倒は、足の筋力低下や視力の低下だけでなく、脳や神経、骨、そして循環器系など、さまざまな体のシステムに問題が生じているサインである場合があります。特に注意が必要な、転びやすさに関連する代表的な病気を見てみましょう。
1. 脳と神経の病気：バランス感覚の司令塔に異変
転倒リスクと最も深く関わるのが、平衡感覚や運動機能を司る脳と神経のトラブルです。
パーキンソン病: 手足の震え、動作の緩慢さ、そして姿勢反射障害が特徴です。特に進行すると、体のバランスを保つ反射がうまく働かなくなり、方向転換の際などによく転びます。
脳梗塞・脳出血（脳血管障害）: 過去の脳卒中により、手足の麻痺が残っている場合や、小脳に障害が残ると、歩行が不安定になり、ふらつきやすくなります。
正常圧水頭症: 認知症と似た症状に加え、歩行障害（特にすり足や小刻み歩行）が見られ、転倒しやすいのが特徴です。早期発見・治療で改善が見込める場合もあります。
末梢神経障害: 足先の感覚が鈍くなるため、地面の凹凸が分かりにくくなり、つまずきやすくなります。糖尿病の合併症としても多く見られます。
2. 骨と関節の病気：体を支える土台の弱体化
変形性膝関節症・脊椎疾患: 膝や腰の痛みがあると、無意識のうちに痛みをかばうような不自然な歩き方になり、歩行不安定を引き起こし転倒しやすくなります。
3. 目の病気：視界の異常が転倒を招く
白内障・緑内障: 視力が低下したり、視野が狭くなったりすることで、障害物や段差の認識が遅れ、つまずきや転倒につながります。
4. その他の病気や要因
低血圧・不整脈: 立ち上がった際に血圧が急激に下がる起立性低血圧や、心臓の病気による不整脈は、めまいや一過性の意識障害（失神）を引き起こし、そのまま倒れてしまう失神発作による転倒リスクを高めます。
服用している薬の副作用: 睡眠薬、精神安定剤、降圧剤など、一部の薬にはふらつきや眠気、注意力の低下といった副作用があり、転倒の原因となることがあります。
🩺 医療機関を受診する目安と何科に行くべきか
「ただの不注意」と「病気のサイン」を見分けるのは難しいものですが、特に以下の症状が見られる場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。
転倒の回数が急に増えた
ふらつきやめまいを伴う
手足のしびれや、特定の動作がやりにくいと感じる
以前より歩幅が狭くなった、すり足になった
急にバランスが悪くなったと感じる
何科を受診すべきか？
最も広範囲のチェックができるのは、神経内科または整形外科です。高齢者の場合は老年内科や総合内科も適しています。症状によっては、脳の検査が必要なため、初めから脳神経外科や脳神経内科を選ぶのも良いでしょう。かかりつけ医に相談し、適切な専門医を紹介してもらうのが最も確実です。
🏠 自宅でできる！今日から始める具体的な転倒予防策
転ぶリスクを減らし、安全で安心な生活を送るために、自宅での予防策は非常に重要です。
1. 環境整備：住まいの危険をなくす
転倒の多くは、住み慣れた室内で起こります。小さな工夫が大きな予防効果を生みます。
床の整理整頓: 電気コードや絨毯の端、新聞や雑誌など、つまずきの原因となるものを床に置かないように徹底します。
手すりの設置: 階段、トイレ、浴室など、立ち座りや移動の際に支えが必要な場所に補助具として手すりを設置します。
照明の改善: 廊下や階段、トイレなど夜間に移動する場所は、十分な明るさを確保し、センサーライトなども活用して足元が見やすいようにします。
滑り止め対策: 浴室や玄関、キッチンなどの滑りやすい床には、滑り止めマットを敷きましょう。
2. 運動習慣：足腰を鍛えてバランス力を維持
筋力やバランス能力の維持は、転びにくい体づくりの基本です。
スクワット: 椅子に座る・立ち上がる動作をゆっくり行うことで、太ももやお尻の筋肉（下肢筋力）を効率よく鍛えられます。
片足立ち: 何かにつかまりながら、目を閉じて片足で立つ練習をします。平衡感覚の向上に役立ちます。
ウォーキング: 適度な運動は全身機能を維持し、歩行能力を保ちます。
3. 靴と服装の見直し
かかとの低い靴: スリッパやかかとの高い靴は非常に危険です。かかとをしっかり包み込み、ソール（靴底）にグリップ力のある、履きやすい靴を選びましょう。
裾の長い服に注意: ズボンの裾や長いスカートの裾が、足に絡まったり、床に引きずったりして転倒原因となることがあります。
🤝 まとめ：不安を感じたら専門家への相談を
「転ぶ」という現象は、単なるアクシデントではなく、健康状態を示す重要なサインです。その裏には、生活の質（QOL）を大きく低下させる病気が潜んでいる可能性があります。
「歳のせいだから仕方ない」と諦めずに、まずはご自身の生活環境と体調をチェックし、改善できることから行動に移しましょう。そして、少しでも体調や歩行に不安を感じたら、早めに専門医に相談することが、安全で快適な暮らしを続けるための第一歩となります。
安全対策と健康維持を心がけ、転ばない体を目指しましょう。