ついつい使っていませんか?間違いやすい「二重敬語」の具体例と正しい直し方
ビジネスシーンや冠婚葬祭など、失礼のないようにと気を引き締める場面ほど、私たちは丁寧な言葉を選ぼうとします。しかし、相手を敬う気持ちが強すぎるあまり、一つの言葉の中に同じ種類の敬語を重ねてしまう「二重敬語」になってしまっているケースが多々見受けられます。
二重敬語は、過剰な印象を与えて読みにくくなったり、場合によっては「慇杄(いんぎん)無礼」と捉えられてしまったりすることも。この記事では、日常的に間違いやすい二重敬語の具体例を挙げながら、スッキリと正しい敬語に直すためのポイントを詳しく解説します。
そもそも「二重敬語」とは何か?
二重敬語とは、一つの語について、同じ種類の敬語(尊敬語、謙譲語、丁寧語)を二重に使ってしまうことを指します。
例えば、「言う」の尊敬語である「おっしゃる」に、さらに尊敬の助動詞「れる・られる」を加えて「おっしゃられる」とするのが典型的な二重敬語です。現代の日本語のルールとしては、過剰で不自然な表現とされています。
【尊敬語編】よくある二重敬語のワナ
相手の動作を高める「尊敬語」で、特によく使われがちな間違いをご紹介します。
1. 「おっしゃられる」
間違いの理由:尊敬語の「おっしゃる」 + 尊敬の助動詞「れる」
正しい直し方:「おっしゃる」または「おっしゃいました」
「部長がそのようにおっしゃられました」ではなく、「部長がそのようにおっしゃいました」がスマートです。
2. 「召し上がられる」
間違いの理由:尊敬語の「召し上がる」 + 尊敬の助動詞「れる」
正しい直し方:「召し上がる」
「どうぞ召し上がってください」で十分に敬意は伝わります。
3. 「ご覧になられる」
間違いの理由:尊敬語の「ご覧になる」 + 尊敬の助動詞「れる」
正しい直し方:「ご覧になる」
資料を見てほしい時は、「資料をご覧になられましたか」ではなく「資料をご覧になりましたか」が正解です。
4. 「お見えになられる」
間違いの理由:尊敬語の「お見えになる」 + 尊敬の助動詞「れる」
正しい直し方:「お見えになる」「お越しになる」
「お客様がお見えになられました」は過剰です。「お客様がお見えになりました」で十分です。
【謙譲語・丁寧語編】混同しやすい表現
自分の動作を低める「謙譲語」や、物の名前に付ける「お・ご」についても注意が必要です。
1. 「伺わせていただきます」
厳密には二重敬語(謙譲語+謙譲語)に近い過剰表現とされることが多い言葉です。
正しい直し方:「伺います」または「参ります」
「明日、10時に伺わせていただきます」はよく使われますが、「10時に伺います」とする方が言葉として洗練されています。
2. 「ご拝見させていただきます」
間違いの理由:謙譲語の「拝見する」 + 謙譲の「~させていただく」
正しい直し方:「拝見します」
「拝見」そのものに「謹んで見る」という意味が含まれているため、「拝見します」だけで完璧な敬語になります。
3. 「お名前様」
間違いの理由:接頭辞の「お」 + 敬称の「様」
正しい直し方:「お名前」
丁寧語の「お」と、人に対して使う「様」を物(名前)に重ねて使うのは不自然です。「お名前を伺えますか」で失礼はありません。
なぜ二重敬語は「避けるべき」とされるのか
「丁寧なのだから良いではないか」と思われるかもしれませんが、二重敬語を避けるべき理由は主に3つあります。
まわりくどく、意味が伝わりにくい:言葉が長くなることで、肝心の内容がボヤけてしまいます。
教養を疑われる可能性がある:特に正式なビジネス文書やスピーチでは、正確な言葉遣いがその人の信頼性に直結します。
相手への配慮が空回りして見える:自信のなさが過剰な敬語に現れているように受け取られることがあります。
迷ったときの判別法:敬語は「シンプルイズベスト」
敬語で迷ったときは、以下の2つのルールを思い出してください。
ルール1:一つの動詞に敬語は一つ
「行く」「言う」「食べる」など、一つの動作に対して敬語のパーツは一つだけ使うように意識します。
✕:お(接頭辞) + 召し上がる(尊敬語) + られる(助動詞)
〇:召し上がる
ルール2:動詞そのものが敬語なら、そのまま使う
「おっしゃる」「いらっしゃる」「なさる」など、動詞そのものが特別な形(特定形)の敬語になっているものは、そのまま「~ます」に繋げるのが最も美しい形です。
二重敬語だけど「使っても良い」例外
日本語には例外もあります。以下の表現は、二重敬語の構造をしていますが、習慣的に定着しており、使っても問題ないとされています。
お召し上がりになる:「召し上がる」に「お~になる」がついた形ですが、広く許容されています。
お伺いする:自分から相手のところへ行く際、広く使われる謙譲表現です。
まとめ:正しい敬語は、あなたを助ける武器になる
二重敬語を直す作業は、自分の言葉を「引き算」することに似ています。余計な飾りを削ぎ落とし、正しい一重の敬語を堂々と使うことで、あなたの発言には力強さと誠実さが宿ります。
最初は難しく感じるかもしれませんが、「この言葉に敬語が二つ入っていないかな?」と意識するだけで、言葉遣いは劇的に向上します。シンプルで美しい敬語をマスターして、自信を持ってコミュニケーションを楽しみましょう。
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