あれ? 知ってるようで知らない日本の森のこと。森林・林業白書から「今」をのぞいてみよう!
こんにちは!私たちの身近にあるのに、意外と知らないことってありますよね。今回注目してみたいのは、日本の国土の約7割を占める「森」、そしてそこで働く「林業」のことです。
毎年、国から「森林・林業白書」というものが発表されているのをご存じですか? ちょっとお堅そう…と思うかもしれませんが、実はこの白書には、日本の森林が今どんな状況で、林業がどんな課題を抱えていて、これからどうしていこうとしているのか、大切な情報がたくさん詰まっているんです。
この記事では、そんな森林・林業白書のエッセンスを、もっと気軽に、分かりやすくお届けしたいと思います。「へぇ!そうなんだ!」と思っていただけたら嬉しいです。
日本の森って、今どうなってるの? 白書から見える「リアル」
日本の国土面積のうち、森林が占める割合は約66%! これは世界的に見てもかなり高い「森林国」と言えます。数字だけ聞くと、「わぁ、緑がいっぱい!」と感じますよね。でも、白書を読み解くと、その「緑の中身」に目を向けることの重要性が見えてきます。
一口に森と言っても、自然の力で育った天然林もあれば、人の手によって植えられ、育てられてきた人工林もあります。日本の森林の約4割は、杉やヒノキといった、戦後から盛んに植えられてきた人工林です。これらの木は、木材として使うために植えられ、人の手で手入れ(下草刈りや間伐など)をすることで、健全に育ち、たくさんの二酸化炭素を吸収してくれます。
ところが、様々な理由から、この手入れが行き届かなくなっている人工林が増えているという現状があります。木が密集しすぎると、地面に光が届かなくなり、下草が生えず、土壌が弱くなってしまいます。こうなると、雨が降った時に土が流れやすくなったり、動物たちが食べ物を見つけにくくなったりと、森本来の力が弱まってしまうのです。
森が私たちにくれる、かけがえのないプレゼント
手入れが行き届いた健全な森は、私たちの暮らしにたくさんの「プレゼント」をくれます。
- キレイな空気をつくる(地球温暖化を防ぐ): 木は成長する過程で、空気中の二酸化炭素を吸収し、酸素を出してくれます。これは地球温暖化の防止に欠かせない、とっても大切な働きです。
- 水を貯えてキレイにする(水源涵養): 森の土はスポンジのように雨水をゆっくりと地中にしみ込ませ、時間をかけて川に流します。これにより、洪水を防いだり、私たちが使う水を豊かにしたりする役割を果たしています。
- 土砂崩れを防ぐ(土砂災害防止): 森の木々の根っこは、しっかりと地面をつかんで離しません。これにより、大雨が降ったときの土砂崩れやがけ崩れを防いでくれます。
- たくさんの生き物を育む(生物多様性の保全): 森には、昆虫、鳥、動物、植物など、様々な生き物が暮らしています。多様な生き物がいる森は、それだけで豊かで強い森と言えます。
これらの森の働きは、私たちが当たり前だと思っている「水がある生活」「安全な土地」を支えてくれているんです。
林業の「今」と、未来へつながる希望
森を育て、守っていくためには、「林業」という仕事が欠かせません。木を植え、育て、そして木材として運び出す。山での作業は、時に危険も伴う大変な仕事です。
白書を見ると、林業の現場では、高齢化が進んでいたり、新しい働き手の確保が課題だったりする現状が見えてきます。また、外国産の安い木材が多く使われるようになり、国産材の価格が低迷していることも、林業経営を難しくしている要因の一つです。
でも、暗い話ばかりではありません! 林業の世界でも、新しい技術がどんどん導入されています。たとえば、高性能な林業機械の活用。これまでは人の手で時間がかかっていた作業も、機械を使うことで効率的に、そして安全に行えるようになっています。ドローンを使って上空から森の状況を確認したり、ICT技術を活用して山から市場までの木材の流れを管理したりと、「林業DX」とも言えるような変化も起きています。
さらに、木材の新しい使い道も広がっています。建築分野では、高層建築に木材を利用する「木造化」や「木質化」が進んでいます。また、燃料として木材チップを使うバイオマス発電や、最先端の技術で木材から新しい素材(セルロースナノファイバーなど)を作り出す研究も進められています。
そして、近年注目されているのが「森林サービス産業」です。これは、森林セラピーや森林を使ったアウトドアレジャーなど、森林の空間そのものを活用して人々に癒しや学びを提供する取り組みです。林業とは違う形で森に関わる人たちが増えることで、森への関心が高まり、林業を応援する気持ちにもつながっていきます。
これらの新しい動きは、林業を「木を切って売るだけ」の仕事から、「森の恵みを多様な形で活かす産業」へと変えていく可能性を秘めています。
私たちにもできること、森と林業を応援しよう!
さて、ここまで日本の森林と林業の「今」を見てきましたが、「私たちに何かできることはあるのかな?」と思った方もいるのではないでしょうか。
実は、特別なことでなくても、私たちにできることはたくさんあります。
一番身近なのは、「木」に興味を持つことです。たとえば、買い物の時に国産材を使った製品を選んでみる。家具や雑貨、おもちゃなど、意外と身の回りに木でできたものがありますよね。「この木は日本の森から来たのかな?」と少し意識するだけでも、森や林業への関心につながります。国産材を使うことは、日本の森の手入れを応援することにもつながります。
また、機会があれば、森に出かけてみるのも良いでしょう。ハイキングやバードウォッチング、森林セラピーなど、森の中を歩くだけでも、その空気や緑の美しさに癒されます。森に親しむことで、「この森を大切にしたいな」という気持ちが自然と生まれてくるはずです。
自治体によっては、森林保全のボランティアを募集していたり、森づくりのための寄付を受け付けていたりするところもあります。できる範囲で、そうした活動に参加してみるのも素晴らしいことです。
まとめ:森と林業の明るい未来のために
森林・林業白書は、日本の森林と林業が直面している課題を教えてくれる一方で、未来に向けた様々な取り組みが進められていることも伝えています。
日本の豊かな森を守り、育てていくことは、地球温暖化対策や災害防止といった環境面だけでなく、私たちの文化や暮らしにも深く関わっています。そして、その森を支えているのが林業という仕事です。
林業の新しい技術や多様な森の活用方法が広がっている今、森と林業には明るい未来への可能性がたくさんあります。私たち一人ひとりが森に関心を持ち、できることから応援していくことが、日本の豊かな森を未来へとつないでいく力になります。
ぜひ、この機会に日本の森と林業について、少し立ち止まって考えてみませんか? きっと、あなたの暮らしと森が、意外なところでつながっていることに気づくはずですよ。