知らなかったじゃ済まされない!「公職選挙法 やってはいけないこと」を分かりやすく解説


私たちが主権者として政治に参加する大切な機会である「選挙」。その選挙が公正かつ適正に行われるために、様々なルールが定められています。それが「公職選挙法」です。

公職選挙法には、投票の方法や選挙運動の期間など、様々な規定がありますが、同時に「やってはいけないこと」、つまり禁止されている行為についても詳しく定められています。これらの禁止行為は、選挙の公平性を保ち、買収や不正を防ぐために非常に重要な意味を持っています。

「知らなかった!」では済まされないこともありますので、選挙に関わる私たち一人ひとりが、公職選挙法で「やってはいけないこと」を正しく理解しておくことが大切です。

今回は、特に皆さんが知っておくべき、公職選挙法で禁止されていることの具体例を分かりやすく解説します。インターネット(SNSなど)での注意点や、もし違反してしまったらどうなるのか、といった点にも触れていきますね。正確性を期すため、総務省や各選挙管理委員会などの公的機関の情報に基づいています。

なぜ公職選挙法で「やってはいけないこと」が決まっているの?

公職選挙法で様々な禁止行為が定められているのは、ひとえに**「選挙の公正さを守るため」**です。具体的には、以下のような目的があります。

  • 買収や利害誘導を防ぐ: お金やモノ、接待などで票を買ったり、特定の候補者に有利になるような不正な働きかけをしたりすることを防ぎます。
  • 特定の候補者だけが有利になる状況を防ぐ: 全ての候補者が公平な条件で選挙運動を行えるように、運動の方法や期間などに一定の制限を設けています。
  • 自由かつ公正な意思表示を保障する: 有権者が誰からの圧力や誘導も受けずに、自分の意思で投票できるようにします。
  • 選挙期間中の混乱を防ぐ: 無制限な選挙運動による混乱を防ぎ、静穏な中で有権者が判断できるようにします。

これらの目的のために、「これをしてはダメですよ」というルールが細かく決められているのです。

特に注意!公職選挙法で「やってはいけないこと」の具体例

公職選挙法で禁止されている行為は多岐にわたりますが、私たちに関わりの深い、特に注意すべき具体例を見ていきましょう。

  • 寄附(きふ)の禁止:
    • 候補者や政治家への寄附の制限: 選挙に関係なく、政治家個人への寄附は原則として禁止されています。政党や政治資金団体への寄附はルールに則れば可能ですが、個人への寄附は「有権者への買収につながる可能性がある」として厳しく制限されています。
    • 有権者への寄附の禁止: 候補者や政治家が、選挙区内の人(有権者)に対して寄附をすることは原則として禁止されています。お祭りや町内会の集まりへの差し入れ、お歳暮・お中元、開店祝い、さらには冠婚葬祭での金品の提供なども、選挙区内の方に対して行うと寄附の禁止に触れる可能性があります。「政治家からの寄附だ」と誤解されないよう、政治家側はもちろん、受け取る側も注意が必要です。(※例外規定もありますが、基本的には禁止と覚えておきましょう。)
  • 買収(ばいしゅう)・利害誘導の禁止: これは最も重い選挙違反の一つです。票を得る目的で、有権者や選挙運動員に対して、金銭や物品を渡したり、接待をしたり、仕事の斡旋などを行ったりすることは固く禁じられています。また、買収された側も罰せられます。
  • 戸別訪問(こべつほうもん)の禁止: 各家庭を回って「〇〇に投票してください」「清き一票をお願いします」などと投票を依頼すること(戸別訪問)は禁止されています。有権者の自宅での平穏が害されることや、買収の温床になりかねないことなどから規制されています。(※禁止されているのは「投票依頼」を目的とした訪問です。)
  • 署名活動(しょめいかつどう)の禁止: 特定の候補者への投票を目的として、有権者から署名を集める活動は禁止されています。誰に投票したか、誰を支持しているかといった情報を集めることにつながるためです。
  • 事前運動(じぜんうんどう)の禁止: 公示日(または告示日)の前(選挙期間が始まる前)に、特定の候補者への投票を依頼したり、当選を目的とした宣伝活動をしたりする「事前運動」は禁止されています。選挙運動は、選挙期間に入ってから公正な条件下で行われるべきだからです。(※ただし、選挙の準備行為(選挙事務所の準備、運動員の確保など)は事前運動にはあたりません。この線引きが難しい場合もあります。)
  • 人気投票の禁止: 候補者の人気を測る目的で、投票行為を行わせることは禁止されています。選挙の結果に不当な影響を与える可能性があるためです。(※ただし、世論調査は公職選挙法上の人気投票にはあたりません。)
  • 特定の媒体を使った選挙運動の禁止: 選挙期間中は、使える選挙運動用の文書図画(ポスター、ビラなど)や掲示できる場所、数量などが厳しく制限されています。法定外のビラを配る、勝手に看板を設置する、電柱や壁に候補者の名前を書くといったことは禁止されています。
  • 未成年者(みせいねんしゃ)の選挙運動の禁止: 選挙運動ができるのは、満18歳以上の選挙権を持つ人に限られています。満18歳未満の者は、選挙運動を行うことはできません。インターネット上での活動も同様です。
  • 名前をかたって投票すること: 本人になりすまして投票することは、もちろん禁止されています。

これらの禁止行為は、選挙の公平性を保つために非常に重要なルールです。うっかり違反してしまわないよう、十分に注意しましょう。

インターネット(SNSなど)での選挙運動、ここも要注意!

近年、インターネットを使った選挙運動が可能になりましたが、それでも「やってはいけないこと」は存在します。

  • なりすまし発信の禁止: 他の候補者や政党、団体、個人になりすまして情報を発信することは、悪質な妨害行為として固く禁じられています。
  • 有料インターネット広告の制限: 候補者等以外(一般の企業や個人)が、候補者や政党の名前を伏せて選挙運動目的の有料インターネット広告を出すことは原則として禁止されています。(※候補者自身や政党がルールに則って出すことは可能です。)
  • 選挙期日当日の選挙運動の禁止: インターネットを使った選挙運動も、選挙期日(投票日)の午前0時以降は行うことができません。
  • 未成年者の選挙運動の禁止(インターネット含む): 繰り返しになりますが、満18歳未満の者はインターネット上でも選挙運動を行うことはできません。
  • 誹謗中傷やデマの発信: 他の候補者に対する虚偽の情報を流したり、誹謗中傷したりする行為は、公職選挙法だけでなく、名誉毀損罪などの他の法律に触れる可能性もあります。

インターネットは便利なツールですが、情報の発信には責任が伴います。特に選挙期間中は、デマや不正確な情報に惑わされないように注意するとともに、自身が情報を発信する際も、正確性や公平性を心がけることが大切です。

もし公職選挙法に違反したらどうなる?

公職選挙法に違反した場合、軽いものでも罰金、重いものでは懲役刑が科されるなど、厳しい罰則が定められています。

  • 刑事罰: 違反行為の種類に応じて、懲役や罰金などの刑事罰が科せられます。
  • 当選無効: 候補者自身が選挙違反をしたり、特定の重大な選挙違反に関与したりした場合、たとえ当選してもその当選が無効になることがあります。
  • 公民権停止(こうみんけんていし): 選挙違反で刑が確定した場合、一定期間、選挙権(投票する権利)や被選挙権(立候補する権利)が停止されます。
  • 連座制(れんざせい): 候補者と一定の関係にある人(秘書や親族、組織的選挙運動の責任者など)が特定の重大な選挙違反で刑が確定した場合、候補者自身が関与していなくても、その候補者の当選が無効になるという厳しい制度です。

このように、公職選挙法違反は、自分自身だけでなく、候補者や関係者にも重大な影響を及ぼします。「これくらいなら大丈夫だろう」といった軽い気持ちでの違反が、取り返しのつかない事態を招くこともありますので、ルールをしっかり守ることが重要です。

有権者が「やってはいけないこと」

「公職選挙法は候補者や運動員のための法律でしょ?」と思われがちですが、私たち有権者にも「やってはいけないこと」があります。

  • 候補者等への寄附・政治家個人への寄附: 上記でも触れた通り、私たち有権者も、選挙区内の候補者や政治家個人に寄附をすることは原則として禁止されています。
  • 買収に応じること: 票と引き換えに金銭や物品を受け取ることは、買収に応じたとして罰せられます。
  • 事前運動への加担: 選挙期間前に候補者への投票を依頼するような活動に積極的に加わることも、事前運動に加担したとして問題となる可能性があります。
  • 選挙期日当日に選挙運動をすること(インターネット含む): 投票日当日は、候補者も有権者も、特定の候補者への投票を呼びかけるような選挙運動を行うことはできません。
  • なりすまし投票: 他の人になりすまして投票することは、重大な犯罪です。

私たち有権者も、公職選挙法のルールを理解し、公正な選挙の一員として責任ある行動をとることが求められます。

まとめ:公職選挙法を理解して、公正な選挙を守ろう!

公職選挙法で「やってはいけないこと」が定められているのは、選挙という民主主義の根幹を守り、誰もが自由かつ公正に意思表示できる環境を保障するためです。

今回ご紹介した禁止行為は、私たち一人ひとりが知っておくべき基本的なルールです。これらのルールを正しく理解し、守ることは、自分自身を思わぬトラブルから守るためにも、そして公正な選挙を実現するためにも非常に重要です。

もし不安なことや分からないことがあれば、自己判断せず、最寄りの選挙管理委員会や総務省の公式サイトなどで正確な情報を確認するようにしましょう。

ルールを守って、私たちの大切な一票を、そして民主主義を一緒に守っていきましょう!


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