林業の新しい相棒? オープンソースの無料ツール「QGIS」が山仕事を変える可能性!
山を歩くとき、必ずと言っていいほど地図は欠かせませんよね。広い山の中で迷わないため、そして地形や境界、植林された木の種類なんかを知るためにも、情報はとっても大切です。
さて、そんな山仕事や森林管理の世界で、今注目されているツールがあるのをご存じでしょうか? それが「QGIS(キュー・ジー・アイ・エス)」です!
「え、キュージス? 何それ?」と思った方もいるかもしれませんね。ちょっと難しそうな名前ですが、実はこのQGIS、林業の現場でとっても役立つ可能性を秘めた、しかも無料で使えるすごいツールなんです。
今回は、林野庁さんが公開している情報も参考にしながら、このQGISが林業の世界でどんな風に「新しい相棒」になりうるのか、分かりやすくご紹介したいと思います。「もしかして、自分の仕事にも使えるかも?」とピンときたら嬉しいです!
QGISって、一体どんなツールなの?
QGISは「地理情報システム(GIS)」と呼ばれるソフトウェアの一つです。GISというのは、簡単に言うと「地図と様々な情報を結びつけて、分析したり表示したりできるシステム」のこと。
たとえば、ただの地図の上に、
- この場所にはどんな種類の木が植えられているか
- いつ植えられたか
- 将来的にどれくらいの木材が収穫できそうか
- このエリアは傾斜が何度で、どんな道があるか
- 動物の目撃情報はどこで多いか
…といった様々な情報を重ね合わせて表示したり、そこから新しい情報を見つけ出したりすることができるんです。
QGISの特徴として一番嬉しいのが、誰でも無料でダウンロードして使える「オープンソース」のソフトウェアだということです。高価な専門ソフトを導入しなくても、パソコンがあれば地理情報システムを使い始められる、まさに画期的なツールなんです。
林業現場でQGISが「すごい!」と役立つポイント
では、具体的にQGISが林業のどんな場面で役立つのでしょうか? いくつか例を挙げてみましょう。
-
山の状況を「見える化」する:
紙の地図や台帳だけでは分かりにくかった、山の地形、境界線、植林した時期ごとのエリア、病害虫の発生箇所などを、QGIS上で地図データと重ねて表示できます。色分けしたり、記号をつけたりすれば、パッと見て状況が把握できるようになります。
-
森林簿データと地図を結びつける:
皆さんの大切な「森林簿」データ。Excelなどで管理されている方も多いと思いますが、これをQGISに取り込んで、それぞれのデータが地図上のどの場所の情報なのかを結びつけることができます。特定の樹齢のエリアだけを表示したり、過去の施業箇所を確認したりするのが、ずっと簡単になります。
-
施業計画づくりや作業の記録に:
「来年はこのエリアの間伐をしよう」「高性能林業機械をどのルートで入れようか」といった施業計画を、地図上で検討し、作成することができます。また、実際に作業が終わった場所をQGISの地図に記録していけば、作業の進捗管理や履歴管理も効率的に行えます。
-
関係者との情報共有がスムーズに:
作成した地図データや計画図を、関係者(森林組合、事業体、森林所有者など)と共有することができます。「この地図のこの場所で…」と具体的な場所を指しながら話せるので、認識のずれが減り、コミュニケーションがスムーズになります。特に災害時など、迅速な状況把握と情報共有が必要な場面で威力を発揮します。
-
作業効率アップやコスト削減の可能性:
山の状況や計画が地図上で「見える化」されることで、無駄のない移動ルートを選んだり、必要な機材や人員の計画が立てやすくなったりします。結果的に、現場での作業時間の短縮やコスト削減につながる可能性も期待できます。
QGIS、始めるにはどうすればいいの?
「QGIS、ちょっと使ってみようかな?」と思ってきましたか? 心配はいりません。QGISは公式サイトから誰でも無料でダウンロードできます。
そして、今回参考にしているような林野庁さんが公開しているマニュアルをはじめ、インターネット上にはQGISの使い方の情報がたくさんあります。まずはインストールして、基本的な地図を表示させてみることから始めるのがおすすめです。専門的な知識がなくても、少しずつ触ってみることで操作に慣れていくことができます。
QGISを使いこなすと、もっと広がる世界
QGISは林業だけでなく、農業、都市計画、防災、環境調査など、様々な分野で活用されています。林業で基本をマスターすれば、他の分野のデータと組み合わせて、さらに高度な分析に挑戦することも夢ではありません。
たとえば、気象データと重ね合わせて土砂崩れのリスクが高いエリアを予測したり、ドローンで撮影した写真を取り込んで植林地の成長状況を詳細に把握したり…可能性はどんどん広がります。
まとめ:林業の未来は、情報活用でさらに豊かに!
これからの林業は、単に木を育てて収穫するだけでなく、ICTなどの新しい技術を活用して「情報を使いこなす」ことが、ますます重要になってくるでしょう。
QGISのような無料のGISツールは、そのための強力な武器になり得ます。山の状況を正確に把握し、効率的な計画を立て、関係者とスムーズに情報を共有する。これらは、林業の生産性を高め、働く人たちの負担を減らし、そして何より日本の豊かな森を未来に引き継いでいくために、きっと役立つはずです。
「ちょっと難しそう」と感じた方も、まずは「QGISってこんなことができるんだ!」ということを知っていただけたら嬉しいです。林業の新しい相棒、QGISの世界を、ぜひのぞいてみてください!