看護実習記録の強い味方!ゴードンの11の機能的健康パターンを徹底活用しよう
「看護実習記録、何から書けばいいの…?」「アセスメントが苦手で時間がかかる…」
看護学生の皆さん、実習記録の作成に頭を悩ませていませんか?膨大な情報の中から患者さんの問題を抽出し、的確なアセスメントを行うのは、本当に大変な作業ですよね。そんな皆さんを強力にサポートしてくれるのが、ゴードンの11の機能的健康パターンを用いたアセスメント方法です。
この記事では、ゴードンの理論がなぜ看護実習記録に役立つのか、具体的な書き方のポイント、そしてアセスメント力を高めるための秘訣まで、わかりやすく解説していきます。これでもう、実習記録に困ることはありませんよ!
ゴードンの「11の機能的健康パターン」って何?なぜ実習記録に役立つの?
まずは、ゴードンの理論の基本からおさらいしましょう。
ゴードンの11の機能的健康パターンとは、マーガレット・ゴードン博士が提唱した、人間を包括的に理解するための枠組みです。患者さんの健康状態を、「健康に関する認識」「栄養」「排泄」といった11の側面から系統的にアセスメントすることで、問題点を網羅的に把握し、看護ケアに繋げることができます。
ゴードンの11の機能的健康パターン |
1. 健康知覚-健康管理パターン |
2. 栄養-代謝パターン |
3. 排泄パターン |
4. 活動-運動パターン |
5. 睡眠-休息パターン |
6. 認知-知覚パターン |
7. 自己知覚-自己概念パターン |
8. 役割-関係パターン |
9. セクシュアリティ-生殖パターン |
10. コーピング-ストレス耐性パターン |
11. 価値-信念パターン |
なぜ実習記録に役立つのか?
情報収集の漏れを防ぐ: 11のパターンに沿って情報を集めることで、「この情報、忘れてた!」という事態を防ぎ、患者さんの全体像を把握しやすくなります。
アセスメントがしやすくなる: 集めた情報を各パターンに当てはめることで、患者さんの健康問題がどの領域にあるのか、何が原因になっているのかを構造的に分析できます。
看護診断に繋がりやすい: 問題点を明確にすることで、適切な看護診断の立案、そして具体的な看護計画の策定へとスムーズに移行できます。
教員への説明がしやすい: 論理的で体系的なアセスメントは、教員への報告や発表の際にも、あなたの思考プロセスを明確に伝えられ、評価にも繋がりやすくなります。
まさに、実習記録作成の強力なガイドラインとなるのです!
実践!ゴードンの11の機能的健康パターンを使った記録の書き方ステップ
では、具体的にどのようにゴードンのパターンを実習記録に活かしていくのでしょうか?3つのステップで解説します。
ステップ1:徹底的な情報収集と「主観的データ」「客観的データ」の区別
まずは、患者さんに関するあらゆる情報を集めます。情報源は、患者さん自身との会話(S情報)、ご家族からの情報、カルテや検査データ、そしてあなた自身が観察したこと(O情報)です。
この時、特に意識してほしいのが、**主観的データ(S:Subjective Data)と客観的データ(O:Objective Data)**を明確に区別することです。
主観的データ(S): 患者さんや家族が話したこと、感じていること。「お腹が痛いと訴えている」「退院後の生活に不安があると言っている」など。
客観的データ(O): 看護師が観察したこと、検査データ、記録された情報など、誰が見ても同じように捉えられる事実。「顔色は蒼白である」「CRP値が高い」「歩行時にふらつきがある」など。
ステップ2:集めた情報を「11のパターン」に分類する
集めたS情報とO情報を、ゴードンの11のパターンに沿って分類していきます。
【例:とある患者さんの情報とパターンへの分類】
情報(S/O) | 分類されるパターン | なぜ? |
S: 「最近食欲がない」 | 2. 栄養-代謝パターン | 食事摂取に関する情報だから。 |
O: 体重が1ヶ月で2kg減少している | 2. 栄養-代謝パターン | 身体の変化(代謝)に関する情報だから。 |
S: 「夜中に何度も目が覚める」 | 5. 睡眠-休息パターン | 睡眠に関する訴えだから。 |
O: 日中もあくびが多い | 5. 睡眠-休息パターン | 睡眠不足を示唆する観察だから。 |
S: 「退院後の生活が不安だ」 | 10. コーピング-ストレス耐性パターン | ストレスや精神状態に関する訴えだから。 |
S: 「仕事に戻れるか心配」 | 8. 役割-関係パターン | 社会的な役割や活動に関する訴えだから。 |
O: 医師の説明を理解しようとメモを取っていた | 6. 認知-知覚パターン | 理解力や学習意欲に関する行動だから。 |
O: ベッドサイドに禁煙の張り紙がある | 1. 健康知覚-健康管理パターン | 健康行動や自己管理に関する情報だから。 |
O: 毎日リハビリテーションに取り組んでいる | 4. 活動-運動パターン | 身体活動や運動能力に関する観察だから。 |
このように、一つ一つの情報をどのパターンに当てはまるか考えながら整理していきます。最初は時間がかかるかもしれませんが、繰り返すうちに自然と分類できるようになります。
ステップ3:パターンごとのアセスメントと問題点の抽出
各パターンに分類した情報をもとに、患者さんの健康状態をアセスメントし、問題点を明確にしていきます。
【アセスメントのポイント】
事実と解釈を分ける: 「〇〇という事実から、△△と解釈できる」というように、根拠と考察を明確にしましょう。
異常の根拠を探す: なぜその状態になったのか、原因や要因を探します。患者さんの疾患、既往歴、生活背景など、多角的に考えましょう。
個別性を重視する: 患者さん一人ひとりの状況は異なります。画一的な視点ではなく、その患者さんならではの問題点を導き出しましょう。
正常・異常の判断基準: 基準値や正常な状態と比較して、何が異常なのかを判断します。
【アセスメントの具体的な書き方例】
例えば、「2. 栄養-代謝パターン」で、「S:最近食欲がない」「O:体重が1ヶ月で2kg減少」という情報があった場合のアセスメントは、
S/O情報: 患者は「最近食欲がない」と訴え、客観的データとして体重が1ヶ月で2kg減少している。
アセスメント: 食欲不振と体重減少は、栄養摂取量の不足を示唆しており、身体に必要なエネルギーや栄養素が不足している可能性がある。これは疾患による全身倦怠感や精神的ストレスが影響していると考えられる。
問題点: 栄養摂取量の不足による栄養状態の悪化の可能性。
このように、S情報とO情報を根拠に、患者さんの状態を分析し、どのような問題が生じているのかを明確にしていきます。
さらにアセスメント力を高めるために!
ゴードンのパターンを使うことで、実習記録の質は格段に上がりますが、さらにアセスメント力を磨くためのポイントをいくつかご紹介します。
「なぜ?」を繰り返す: 患者さんの言動や身体の状態を見て、「なぜそうなっているのだろう?」と深く考える癖をつけましょう。表面的な情報だけでなく、その背景にある原因を探ることが重要です。
疾患の知識と結びつける: 患者さんの疾患が、各パターンにどのように影響を与えるのかを考えましょう。疾患の病態生理や治療内容と、患者さんの状態を結びつけて考えることで、より深いアセスメントができます。
看護過程と連動させる: アセスメントで抽出した問題点を、看護診断、目標、看護計画へと繋げていくことを意識しましょう。アセスメントはあくまで看護過程の入り口です。
振り返りを大切にする: 実習後、自分のアセスメントが正しかったか、漏れていた情報はないかなどを振り返りましょう。教員からのフィードバックを積極的に取り入れ、次回の実習に活かすことが成長の鍵です。
まとめ:ゴードンのパターンで、自信を持って実習記録に挑もう!
ゴードンの11の機能的健康パターンは、看護実習記録における情報収集、アセスメント、問題抽出の強力なツールです。この枠組みを使いこなすことで、複雑な患者さんの情報を整理し、論理的な思考で看護問題にアプローチできるようになります。
最初は難しく感じるかもしれませんが、繰り返し練習することで、必ずあなたの看護アセスメント力は向上します。ぜひ今日からゴードンのパターンを意識して、実習記録作成に自信を持って取り組んでくださいね!あなたの努力が、患者さんのより良い看護に繋がることを願っています。