看護師が活躍する3つのステージ:急性期・回復期・慢性期病院の働き方を徹底解説!
看護師の皆さん、あるいは看護師を目指す皆さんにとって、どんな病院で、どんな患者さんと関わりたいかは、キャリアを考える上で非常に大切なポイントですよね。病院は、患者さんの病状の段階によって大きく「急性期」「回復期」「慢性期」に分けられ、それぞれのフェーズで看護師の役割や働き方は大きく異なります。
ナース専科の情報を参考に、この記事では、それぞれの病院の特徴と、そこで働く看護師の働き方、求められるスキル、そしてやりがいや大変なことまでを詳しく解説します。あなたの目指す看護師像や、ワークライフバランスに合った職場を見つけるための参考にしてくださいね。
1. 急性期病院の看護:命と向き合う、スピーディーな看護
急性期病院は、病気の発症直後や症状が急激に悪化した患者さんに対し、集中的な治療や手術を行い、生命の危機を乗り越え、症状の安定を目指す場所です。救急医療や高度な医療が提供されるのが特徴です。
看護の特徴と役割
命の危険と隣り合わせ: 患者さんの状態が不安定で、急変のリスクが非常に高いです。そのため、常に緊張感を持って患者さんの状態を観察し、異常の早期発見と迅速な対応が求められます。
高度な医療処置: 点滴管理、人工呼吸器の管理、ドレーン類の管理、検査や手術の介助など、医療処置が多く、専門性の高い知識とスキルが必要です。
多職種連携の中心: 医師、薬剤師、理学療法士など、多職種との連携が密で、看護師は情報共有や調整役としてチーム医療の中心的な役割を担います。
患者さんとご家族の精神的サポート: 突然の入院や重い病状に直面し、不安を抱える患者さんやご家族に対し、精神的なケアや情報提供を行うことも重要な役割です。
働き方
多忙でスピード重視: 患者さんの入れ替わりが激しく、緊急入院や急変対応も多いため、常に時間に追われる傾向にあります。テキパキと効率的に動くことが求められます。
シフト制勤務: 2交代制または3交代制のシフト勤務が一般的です。夜勤は必須となることがほとんどです。
学習意欲が求められる: 最新の医療知識や技術が常に更新されるため、積極的に学び続ける姿勢が重要です。研修や勉強会への参加も多くなります。
やりがい・大変なこと
やりがい: 患者さんの病状が回復していく過程を間近で見ることができ、命を救うことに貢献できる達成感や充実感は非常に大きいです。幅広い医療知識やスキルが身につくため、看護師としての成長を強く感じられます。
大変なこと: 常に緊張感が伴い、精神的・肉体的な負担が大きい側面があります。命に関わる責任の重さや、多忙さから個々の患者さんとじっくり向き合う時間が限られること、救えない命と向き合う辛さもあります。
2. 回復期病院の看護:在宅復帰を支援する、生活に密着した看護
回復期病院(回復期リハビリテーション病棟)は、急性期の治療を終え、病状が安定した患者さんに対し、集中的なリハビリテーションを提供し、在宅や社会への復帰を目指す場所です。
看護の特徴と役割
生活に密着したリハビリテーション: 理学療法士や作業療法士などと連携し、食事、排泄、入浴、移動、更衣などの日常生活動作(ADL)の自立を促すための看護が中心となります。リハビリ訓練室で得た能力を、実際の生活の中で活かせるよう支援します。
患者さんの「できること」を伸ばす: 患者さんの残存能力を見極め、自立に向けた声かけや介助を行います。身体介助の機会も多く、体力が必要となる場面もあります。
多職種連携の要: 医師、リハビリ専門職、医療ソーシャルワーカーなど多職種が密に連携し、退院支援や家族指導も重要な役割です。看護師は、患者さんの24時間の生活を見守る中で得られる情報を、多職種と共有する橋渡し役となります。
精神的サポート: 障がいを受け入れたり、回復への希望を持ったりできるよう、患者さんやご家族の精神的な側面を支えることも大切です。
働き方
比較的安定した勤務: 急変や緊急入院が急性期に比べて少なく、日々の業務がルーティン化されている傾向があります。残業も比較的少ないことが多いです。
ワークライフバランス: プライベートの時間を確保しやすく、子育て中の看護師などからも人気が高い職場です。
患者さんとの関わり: 長期入院の患者さんが多いため、一人ひとりの患者さんとじっくりと関わり、信頼関係を築く時間を持つことができます。
やりがい・大変なこと
やりがい: 患者さんがリハビリを通して徐々に回復し、自立していく姿を間近で見守り、在宅復帰を支援できることに大きなやりがいを感じられます。「ありがとう」の言葉や、患者さんの笑顔が直接的な喜びにつながります。
大変なこと: 身体介助が多く体力が必要なこと、医療行為の機会は急性期に比べて少ないため、高度な医療スキルを磨きたい人には物足りなさを感じる可能性もあります。
3. 慢性期病院の看護:長期的な視点で支える、生活支援の看護
慢性期病院は、急性期の治療を終え、病状が安定しているものの、継続的な医療ケアや療養生活のサポートが必要な患者さんが長期的に入院する場所です。高齢の患者さんが多い傾向にあります。
看護の特徴と役割
生活の場としての看護: 患者さんの生活の質(QOL)を重視し、食事、排泄、入浴、口腔ケアなど、日常生活の援助が中心となります。病院が患者さんにとっての「生活の場」となるため、快適に過ごせるようサポートします。
長期的な視点でのケア: 数ヶ月から数年単位で患者さんと関わるため、一人ひとりの個性や生活習慣を理解し、その人に合わせた個別性の高い看護を提供します。
合併症予防と安楽: 寝たきりの患者さんも多いため、褥瘡(床ずれ)予防、誤嚥性肺炎予防など、合併症予防や安楽な療養環境を提供するためのケアが重要です。
患者さんとご家族との関係構築: 長期間にわたる関わりの中で、患者さんやご家族との間に深い信頼関係を築き、精神的な支えとなることが求められます。
看取りの看護: 終末期の患者さんもいるため、看取りのケアを行うこともあります。
働き方
落ち着いた環境: 急変や緊急入院がほとんどなく、一日の業務の流れが比較的穏やかで、計画的に看護を進めやすい環境です。
ワークライフバランス: 残業が少なく定時退勤しやすい傾向にあり、ワークライフバランスを重視したい看護師や、子育て中の看護師に特に人気があります。夜勤でも休憩が取りやすいことが多いです。
基礎看護技術の習得: 日常生活援助が中心となるため、基礎的な看護技術をじっくりと実践し、スキルを磨くことができます。
やりがい・大変なこと
やりがい: 患者さんの日々の小さな変化に気づき、快適な療養生活を支援することにやりがいを感じられます。患者さんやご家族とじっくり向き合い、深い信頼関係を築けることが大きな魅力です。
大変なこと: 医療行為の機会が少なく、急性期のような高度な医療スキルを習得する機会は限られます。また、身体介助が多く、体力が必要な場合もあります。変化が少ないため、ルーティンワークに物足りなさを感じる人もいるかもしれません。
まとめ:あなたの「したい看護」はどのステージで見つかる?
急性期、回復期、慢性期病院は、それぞれ異なる特徴を持ち、看護師に求められる役割や働き方も大きく違います。
急性期: 命を救うことに貢献したい、高度な医療スキルを磨きたい、スピーディーな対応力を身につけたい方におすすめです。
回復期: 患者さんの回復を間近で支えたい、生活に密着したリハビリ看護に興味がある、多職種連携の中心で活躍したい方におすすめです。
慢性期: 患者さん一人ひとりとじっくり向き合いたい、生活の質向上を支えたい、ワークライフバランスを重視したい方におすすめです。
それぞれの特徴を理解し、あなたのキャリアプランや目指す看護師像、そしてどのような働き方をしたいのかをじっくり考えてみましょう。そうすることで、あなたにとって最適な職場が見つかるはずです。